『あたためる』@森岡書店を愉しんでいただくために。
私が本気で陶芸を志すきっかけとなり、
今も、またこれから先もずっと追い求めるだろう方。
『Lucie Rie』
きっとお好きな方も多いことと思います。
彼女の1冊の作品集に出逢い
抜群のバランス感覚と色彩、洗練した作品の数々に、
今までに味わったことのない感動と衝撃を受けたのを、
今も鮮明に憶えております。
陶芸に対しては、伯母の古くからの友人に、
轆轤の手ほどきを受けた程度でしたので、
作品集の中の、彼女の轆轤をひく姿を写した何枚かの写真と、
美しい作品の数々が私の手本でした。
彼女のような美しいボウルをひけるようになること。
薄い器をつくる轆轤の技術を身につけることが目標でした。
それから数年、彼女のボウルを目標とした作品をひき続け、
やがて実用性に富んだ器を作りたいという気持ちが強くなり、
Lucieのボウルの形からあえて離れる決意をいたしました。
その時に生まれたのがStandard_Bowlです。
スタッキングの美しさ、
5枚重ねたときでも片手で持てるほどの軽さ、
花器としても使えるデザイン。
私にとって、このボウルは生涯をかけて洗練させていきたい作品の一つです。
作り手の自己満足ですが、このボウルが私の「スタンダードデザイン」なのです。
陶芸を志すようになり、今年で7年目になります。
30歳を過ぎ、ようやく自分の作品の方向性が見えてきたような気がします。
そんな今だからこそ、再びLucieのボウルの形を作りたくなったのです。
ずっと私の作品を見守り続けてくださっている方は、形の違いに気付いてくださるでしょうね。
Lucie Rie
あなたは何を見つめ美しいと感じ、何を表現し伝えたかったのですか?
私はあなたの目に少しでも近づきたいと願っています。
会うことの叶わぬ憧れの人だからこそ、
私はこれからもあなたの目と手を追い求めるのでしょうね。